PBFDとBFDの検体を作る際に気をつけること〜PCRってなんだ

bn_pbfd_0PCRって単語自体はすっかり認知度が上がりましたね。

獣医さんにお願いできれば間違いないのですが,自分でPBFDとBFDの検査に出す必要がある場合もありますよね。
そこでPBFDとBFDの検査方法について考えてみます。
間違いもあるかもしれませんが,多少なりとも参考になればと思います。
間違いに気がついた方はぜひ教えてください。

何か感染症かどうか検査する方法はいくつかあります。
私は臨床に詳しくないので,ここらへんは適当ですが…。

A.感染症の原因を直接観察する
B.感染症の副産物を検出する
C.感染症による抗体を検出する
D.特徴的な病変を観察する
E.感染症の原因を増やして検出する

などでしょうか?

「E.感染症の原因を増やして検出する」でイメージしやすいのは「シャーレに細菌を塗って培養してコロニーを作らせて観察する」でしょうか。
これは馴染みがあって非常にイメージしやすいですね。

ところが目に見えないPBFDとBFDのウイルスの場合は,ちょっと日常的な感覚とは異なります。
今はPCRという方法が利用されています。

PCRという言葉自体はよく聞くようになったのでご存知の方も多いことでしょう。

では,実際にはどういった仕組みなのでしょうか?
 
 

PCRとは

分かりやすいようにデフォルメして説明しているので,不正確な表現があるのですがご容赦ください。

PCRは私が学生の頃,急速に普及し始めました(年齢がバレる)。当時あまりの画期的な手法に驚かされました。まあ,とにかくそれくらい新しい技術です。

PCRは,polymerase chain reactionの略なのですが,ポリメラーゼがなんだったか覚えていますか?たぶん中学の教科書に載ってました。

人間の細胞核にもDNAが入っています(胡散臭い表現ですが分かりやすいようにこの表現でいいや)。生物のDNAは2本でできています。2本は鏡のように反転していますが対になっています(正確に知りたい人は「塩基配列」で検索してください)。
DNAは2本に別れて,DNAポリメラーゼによって新たな2個のDNAに複製されます。2本は反転しているので,どちらが元でも全く同じDNAが複製されます。
 

PBFDもBFDのウイルスもその正体はDNAです。人間と違って細胞ではなくDNAだけでできています。複製して量を増やして検出します。この量を増やす作業がPCRです。

下図は2本鎖DNAのPCRを示しています。
PBFDのウイルスは1本鎖DNAですが,原理は基本的に一緒です。


PCRでDNAを増やす場合,プライマーと呼ばれる「ここからスタートするよ」というマーカーみたいなものを使います。
プライマーが一本になったDNAに特異的にくっついてそこからDNAの一部が複製されます。
このプライマーは,目的のDNAの特異的にくっつくように作られているので,他のDNAにはくっつきません。

 

複製されたDNAの数は指数関数的に増えていきます。

複製後のDNAの数 = 最初のDNAの数 × サイクル数

です。

この仕組みを利用することでDNA(ウイルス)の一部分を増やすことができます。最初のDNAの数が多ければ,それだけ多く複製されます。なので最初の検体に多く含まれていた方がよく,少なすぎると検出感度に達しません。
何サイクル複製するかは検査する施設がそれぞれ決めています。

この増やしたDNAを使って分析を行います。
分析の方法については,実情を知らないので今回は割愛します。
 
 

PCRを踏まえて検体を作る

よくドラマや映画で見る親子鑑定や犯人特定などでは他人のDNAが混入しないように気をつけないといけません。

しかし,PBDFなどの検査ではプライマーが目的のDNAに特異的にくっつくので,検体を作るときに人間のツバや皮膚片が入っても大丈夫!検査結果には影響しません(もちろん入らない方がいいに決まっている)。そこらへんはそんなに神経質になる必要はありません。

神経質にならなければならないのは,多頭飼いの場合,他の鳥由来の何か(糞や血液や脂粉など)が混入してしまうことです。
他の鳥が感染していた場合,検査した仔が陰性でも陽性という結果が出てしまうことがあります。
たとえで1羽で飼っていても,お店から連れて帰った後しばらくは多頭飼いと一緒です。

なので,深爪をさせて血液を取る場合は,爪と爪切りをしっかり消毒し,他の仔由来の何かが入らない場所で作業しましょう。
ここでの消毒は「殺菌」が目的ではありません。付着している何かを拭き取るための消毒です。
ゴシゴシ擦り取るイメージを持ってエタノールを染み込ませた脱脂綿などで消毒しましょう。

今回に限った話ではありませんが,最初に出てきた血は捨てて(拭き取って),そのあとに出てきた血を検体として使いましょう。

その他の具体的な検体の取り方は,検査先に従いましょう。

また抜け落ちた羽でなく抜いた羽を検体に使うのは,新鮮な組織を採取するためです。
抜けた羽には組織が付いていない可能性と組織がついていても古い可能性があります。

獣医さんで首の静脈から採血するのは,今現在のウイルス量を反映している新鮮な血液を汚染なしで採取するためです。
より正確な結果が期待できます。
 
 
DNAは非常に丈夫です。
映画ジュラシックパークにもあったように環境がよければ長時間壊れません。

下手に冷凍解凍を繰り返して霜をつけたり,乾燥させようと紫外線に当てたりしない方がよっぽどいいです。

とにかく普通に常温において数日以内に検査に出すのであれば,なんの問題もありません。

だからこそ,PBFDウイルスが環境下で長く活性を保つわけなんですが…orz

獣医さんにお願いできる環境であればそれば一番いいのですが,そうもいかない飼い主さんも多いと思います。私自身がそうです。
ご自身で検査に出すこともできますので,参考になれば幸いです。
 
 
 
【注意】他の検体はまた違うので,あくまでPBFDとBFDの検体の場合です。

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