PBFD・BFDの検査精度とウイルス量

bn_pbfd_0PBFD・BFDの検査精度を知ることで効率よく検査できます。

「PBFDの検査って陽性って出ても陰性だったり,陰性って出ても陽性だったりするんでしょう?検査する意味ないじゃん」と言われました。

なるほど。そういう話はよく聞きます。
そいう話を聞くと検査の意義を疑ってしまいますね。
そこでPBFD・BFDの検査精度について考えてみます。

実際のPBFD・BFDの数値については分からないので,一般的なウイルス感染で考えてみます。
また分かりやすいように概略化しているので不正確な表現がありますが大目にみてください。
あと間違っていたらごめんなさい。間違いに気がついた方は是非教えてください。
 
 

「陽性という検査結果だったけど,本当は陰性だった」はあるのか

検査の仕組と精度から考えれば,その可能性はまずありません。
あるとすれば,人的なミスです。

A.検査機関の人的ミス
B.検体の採取(血液をとったりする作業)ミス

が考えられます。
Aの可能性はないわけではありませんが,非常に低いと思われます。1%もないでしょう(あったらやばい)。信頼のおける検査機関に依頼することで大部分を防げます。
Bは,検体を作った人のスキル次第では起こりやすいかもしれません。
 
 

「陽性と判定された検査の3日後に検査したら陰性と出た」場合

数日で陰転した可能性も全くないわけではありませんが,可能性は非常に低いでしょう。

人的ミスがなかった場合,「検査したタイミングのウイルス量が少なかった」が可能性が考えられます。

しかし,陽性という検査結果はまず間違いないです。
 
 

「陰性という検査結果だったけど陽性だった」はあるのか

これはよくあると思います。
でも仕方ないんです。

なぜこういうことが起こるのでしょうか?

まず言葉の定義の問題があるのですが…。
多分みなさんが思っているのは
陽性:病気
陰性:病気ではない
ではないでしょうか?

実際は
陽性:一定以上のウイルスがある
陰性:一定以上のウイルスがない。ゼロなのか少量はあるのかは不明
です。
 

ウイルス量と経過時間

ウイルス量と経過時間を考えてみます。グラフはものすご〜く適当に書きました。イメージです。

Aの時点で感染したとします。ウイルスは体内で指数関数的に増殖します。

検査の仕組上ある程度までウイルスが増えないと検査で陽性と判定されません。検出に必要なウイルス量を検査感度と言います。Bまでは感度が足りず陰性と判定されます(これを偽陰性と言います)。

AからBまでの期間はどれくらいなのでしょうか?
検査方法にもよりますが,PBFDでは最短で3日と聞きました。
感染の危険にさらされてから,3日後以降に検査をした方がよさそうです。

ソースを探しているのですが発見できません。一旦取り消させてください(信頼できる人から聞いたようなうろ覚えの記憶が…)。

個人のブログなどに「DNAプローブテストにより,PBFDウイルス感染から2日で検出可能」という記述は何箇所かありました。

実際,PCR後DNAプローブテストを行っていると思いますが,使用キットや検査条件によって感度が変わります。

(ここ!詳しい方がいたらぜひ教えてください)

次に発症です。
生体のことなのでグラフのように「このウイルス量なら発症!」ということではないのですが,便宜的にそういうことにします。
AからCの期間はどれくらいのでしょう?
またこれが問題で,数日から数年らしいです。生後どれくらいで感染するかに大きく左右されるようです。BFDの方がPBFDより短期間のようです。
私の勝手な印象ですが,BFDなら数日,PBFDなら2週間以上なのかな…。
BFDで最短数日,PBFDで最短21日らしいです。

発症後,幸い体内のウイルス量が減ったとします。
(1)や(3)の時点で検査を行ったとします。この時,陰性という結果になります。しかし体内にはまだウイルスが存在しています。そのままウイルスが消滅することもありますが,増殖する可能性もあります。
なので,何度か陰性という結果が得られて初めて陰転=完治とするわけです。

一般に3ヶ月に一回の検査で連続して3回とも陰性であれば陰転としているようです。

グラフの赤ラインより体内のウイルス量が多い時に陽性という検査結果になります(実際は検体の作り方で変わります)。
検査のタイミングによって体内にウイルスがあっても陰性という検査結果が出てしまうのはこういうことなのです。
 
 

検査の意義

では,検査しない場合飼い主はいつ気がつくのでしょう。
多くの場合は,脱毛で気がつきます。
脱毛は羽の形成と換羽の時期に左右されるのですが,Cの後になります。
発症後,数日で気がつくこともあるでしょうし,数ヶ月後,数年後のこともあるでしょう。
発症していても気がつかない場合もありますしね…。

仮にDの時点で,感染に気がついたとします。
体外へ排出されるウイルスの量は発症後に爆発的に多くなります。
CからDの期間大量のウイルスを撒き散らすことになります。

もし,B〜Dの間(Cの発症前が望ましい)に感染に気がつくことができれば,ウイルス汚染を最小に止める対策を打つことができます。
また,早めに気がつくことで完治の可能性が高まります。

だからこそお迎え時の検査が大切なのです!!

また,ウイルス量と経過時間,検査精度について知ることで効率よく検査ができます。
専門の獣医さんに相談すればまず大丈夫でしょうが,ご自身で検査に出す場合,的外れなタイミングで検査するのは避けたいところです。
 
 
さらに,検査の仕組みを知ることで効率よく検査に出すことができると思います。
またご自身で適正な検体の作ることができれば、安く早く検査結果を得られます。
書けたらそのうち書いてみますね。

“PBFD・BFDの検査精度とウイルス量” への 6 件のフィードバック

  1. るな より:

    こんばんは。
    こちらを確認するのが遅くなりました。
    感染3日目から検査可能というのは、どこからの情報でしょうか。
    よければ、メールのほうで構いませんので教えてください!

    最近、バードトレーナーさんの鳥さん同伴のセミナーやバードランなどについて色々な意見がでていますね。
    鳥さんの遺伝子検査について、です。
    大型でも、やはりショック死の不安はぬぐえないのに、例えばセキセイに保定で首から採血など、なかなか難しいですよね…

    グラフは今のままで良いのではないかと思います。
    多分、医療系に詳しくない場合はそこまで色々考えつかなそうです‼

    1. さちよん より:

      今回の内容は一般的なウイルスについての概要を書いたので特に何も参照せず書きました。
      「でも,飼い主の知りたいのは感度が出るのはいつかだよね」と思い書き足したのが「3日」という数字です。
      今年の夏に聞いたか読んだかしたのですが,うろ覚えで書いてしまったためソースを失念してしまいました。
      思い当たるところを調べ直したのですが,発見できませんでした。
      調べ直すので,ソースはしばらくお待ちください。
      すごく気になる部分なので,分かり次第こちらにも書きますね。

      「え!感染から3日で検査できるの!?」と衝撃を受けた記憶だけは鮮明にあるんですが…。
      いかんですね。

      この前,おそらく感染2週間(私は感染のタイミングはほぼ確実だと思っています)の仔で陽性の結果が出てました。

  2. るな より:

    追記で
    眞田先生に、お迎え時の検査のベストタイミングを聞いたことがあります。
    その回答が「お迎え直前にショップで検査をおこなってもらう。お迎えして3-6か月後に再度検査する」だそうです。
    といっても、お迎え直前に検査などショップで行かないと思うので、お迎えして即検査、不安なら半年後に再検査だと思います。

    1. さちよん より:

      PBFDやBFDだけじゃなくって,定期健康診断も大事ですしね。
      我が家は年一回で検査するようにしてます(うっかりするともっと間が空くこともある)。

      どこでもらってくるかもわかないし。

  3. るな より:

    ヨウムと暮らしております。
    主治医は柏のバードハウスの眞田先生です。
    国内でPBFDについては一番詳しい獣医師です。
    健康診断時にPBFD等、質問をよくしています。

    感染から診断可能までは
    おおよそ3-6か月が目安だそうです。(それでもひっかからない個体もいるそうです)
    前にバードトレーナーの柴田さんから聞いたのですが、10年ひっかからなかった個体がいると、横小鳥の病院の海老沢先生から聞いたという話も聞きました。

    眞田先生から、定量検査はウィルス研究をしている機関でなければ検査しないと聞きました。
    昔はPCR検査がなかったので、健康な白色オウム(タイハク)から採血し、病気の個体の血液と比べるという検査だったため、抗体が少しずつできてきているのがわかったそうです。

    性別検査の精度の話をこの前したのですが
    間違った結果がでるのを突き詰めると
    爪からなどの採血は、他の遺伝子が混ざる可能性があるということでした。
    清潔にしているつもりでも、多頭類飼いの場合
    糞などを踏んで、遺伝子なので混じる可能性があるそうです。
    病院で採血しなければ、やはり精度はおちてしまうそうなので、恐らく遺伝子検査は病院で採血がベストなのだろうと思います。
    地域によっては難しいでしょうし、東京でも採血は爪からの病院も多いですが…

    1. さちよん より:

      るなさん,こんにちは。

      詳しい獣医さんに通えて羨ましいです!!
      うちは田舎で,かかりつけの獣医さんではDNA検査はできません。
      ちょっと遠出すれば獣医さんにお願いすることも可能ではあるのですが…基本自分で検査に出すしかないです。

      小さい鳥だと静脈からの採血も可哀想ですよね。

      個人でもきちんと採血できれば安い金額で検査できるので,気軽に検査できるんですけどね〜。

      >おおよそ3-6か月が目安だそうです。
      そこ!!もっと詳しく聞きたいです。
      私もそうだと思って,不安なまま何回か検査したことがあるんですが,この前「感染3日目から検査可能」と聞いたんですよね。
      最短でそうなのか,基本そうなのか…。
      もう一回きちんと確認してみます。
      PCRの精度が上がってそうなのか,そこの検査機関がそうなのか…もうろ覚えです。
      検査機関で使っているプライマー(ウイルスにくっつくマーカーみたいなものでそこからウイルスを増幅させる)が違って,精度が違うのか,基本どこも同じプライマーを使っているのか,それもよく分かりません。

      >10年ひっかからなかった個体がいる
      それも!!
      10年間で途中感染がなかったのか,本当に引っかからなかったのか。
      10年も潜伏されたら対応しづらいですよね。
      ただその間は排出するウイルス量が少ないのが救いではあるんですが,やっぱり怖い。

      私が適当な一般的なグラフを書いちゃったので誤解させたかもしれませんが,この文章だと定量検査を行っている印象を与えますか?

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