07:遺伝子疾患ってなんだ?1 遺伝子の変異とは

なんとなく親から子へ遺伝する病気のような気がします。

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まだ基礎もできていないのに応用です。
もともとバイオの解説をしようと思い立ったのが犬の遺伝子疾患について聞かれたからです。
今蔓延している犬の遺伝子疾患を理解する一助となる知識を意識して解説します。

今回は字ばっかりです。

 

遺伝子疾患の種類

定義は「遺伝子の異常が原因になって起きる疾患の総称」なので、必ずしも遺伝するとは限りません。
もちろん、子孫に遺伝する場合も多いです。そして遺伝する方がより深刻です。

・染色体異常症
・単一遺伝子疾患
・多因子遺伝

がありますが、ここまでの知識で理解できそうな「単一遺伝子疾患」の説明にとどめます。

 

単一遺伝子疾患とは

ウィキペディア「遺伝子疾患」より
『単一遺伝子疾患
単一遺伝子疾患は1つの遺伝子の変異により発症する。単一遺伝子疾患はメンデル遺伝形式に従うという大きな特徴がある。これまで知られている単一遺伝子疾患は、Vector A.McKusickによる著書である「Mendelian Inheritance in Man」に記載されており、殆どの単一遺伝子疾患は稀なものである。しかし単一遺伝子疾患群としてみると、およそ2%の人が生涯のいずれかの時期で単一遺伝子疾患に罹患していることに気がつくという報告もある。小児期に発症する重篤な単一遺伝子疾患の頻度は0.36%であり、入院している小児疾患の6~8%は単一遺伝子疾患に罹患していると推定されている。小児疾患が多いが単一遺伝子疾患の10%以下だが思春期以降に症状が発現し、1%は生殖期間が終わった後に発症するものもある。単一遺伝子疾患は診断が家系構成員の健康に大きく影響する点が非常に重要となる。 DNA配列の変異による疾患として初めて明らかにされたのは1983年ハンチントン舞踏病のHTT遺伝子のCAGリピート伸長である。
単一遺伝子疾患が従うメンデル遺伝学では常染色体優性遺伝、常染色体劣性遺伝、X連鎖性優性遺伝、X連鎖性劣性遺伝の4つが基本形式になる。いくつかの例外も知られており、ゲノムインプリンティングによる特異的な遺伝形式を示す偽性副甲状腺機能低下症や母系遺伝などを示すミトコンドリア病などがあげられる。』

はあ…。
なるほど…。

今まで解説してきた内容では理解できないことがいっぱい入っています。
理解できるように簡略化します。

 

遺伝子の変異

さて、単一遺伝子疾患の原因は遺伝子の変異です。それが原因で何かしら病気が引き起こされます。
遺伝子の変異には下記のようなものがあります。
もう少しパターンがありますが、基本だけ。

 

塩基置換(Substitution)

SSS1(c.118G>A)
と記述した場合、「SSS1(イタリックだから遺伝子ですよ)のcoding DNAの118番目の塩基GがAに換わっている」ことを表しています。
coding DNAの説明をまだしていませんが、そのうち解説するかもしれません。

 

塩基の欠失(deletion)

SSS1(c.28delA)
と記述した場合、「SSS1のcoding DNAの28番目の塩基Aが欠損している」ことを表します。

 

塩基の重複(duplication)

SSS1(c.45dupG)
と記述した場合、「SSS1のcoding DNAの45番目の塩基Gが重複している」ことを表します。

 

塩基の挿入(insertion)

SSS1(c.105_106insT)
と記述した場合、「SSS1のcoding DNAの105番目と106番目の塩基の間に塩基Tが挿入されている」ことを表します。

 

こんな些細な変化がなぜ病気につながるのでしょうか?
次回は遺伝子の変異がタンパク質にどう影響するか、簡単な例を見てみます。
そのときは頑張ってイラストを多めに入れます。

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