09:遺伝子疾患ってなんだ?3 メンデルの法則と作出

なぜかメンデルの法則は大好きなのか、みなさん知っていますよね

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みなさん理科で習ったメンデルの法則を覚えている方が多いので、この解説は端折ります。
(゜σ゜)ホジホジ・・・( ̄▽ ̄)δ⌒・ピンッ
忘れた人は自分で調べてください。

参考:メンデルの法則(優性の法則・分離の法則・独立の法則)とは?

 

一応、軽くメンデルの法則の確認

メンデルの法則は下記の3つの法則で成り立っています。
・分離の法則
・独立の法則
・優性の法則

最近では「優性」や「劣性」というの用語を使わず、優性を「顕性」、劣性を「潜性(せんせい)」と呼びましょう!と決まったらしいです。

そして大切なこととして、メンデルの法則は「単一遺伝子」に依存する形質(ここでは遺伝する特徴という意、かな?)です。

07:遺伝子疾患ってなんだ?1 遺伝子の変異とは」であげた遺伝疾患は3つありました。
・染色体異常症
・単一遺伝子疾患
・多因子遺伝
メンデルの法則に従う遺伝子疾患は、「単一遺伝子疾患」ということになります。

 

メンデルの法則に人間が介入するということ

自然界では多くの「黄さちよん(AA)」が生息していますが、この度めったにいない「青さちよん(aa)」を捕獲しました。
さちよんは服を着ていると思っていましたが、どうやら全裸だったようです。
それはさておき「青さちよん(aa)」は高く売れるので繁殖させてみます。

さちよんはたくさん子供を産みます。1度に80匹のさちよんを産みます。
こときの親をPと呼びます。
子供は雑種1代目でF1と呼びます。
生まれた子供は全部「黄さちよん(Aa)」でした。残念です。

生まれた子供同士で子供を産ませてみました。雑種2代目をF2と呼びます。

すると今度は「黄さちよん」が60匹(AAが20匹、Aaが40匹)、「青さちよん(aa)」が20匹生まれました。
生まれた子供の比は3:1になります。

この新しく生まれた20匹の「青さちよん(aa)」同士を掛け合わせると、青さちよんを効率よく繁殖できます。
でも…近親交配ですよね…。うへ〜。

健康なさちよんは、強い免疫力を発揮する正常なSSS1遺伝子(B)を持っています。
しかし今回最初に捕まえた「青さちよん」は、たまたまSSS1に変異(b)を持っていたとします。
でも、捕獲した「青さちよん」はヘテロ(Bb)だっため発症はしておらず、健康体でした。

近親交配を続けることで「免疫力の弱いさちよん(bb)」が生まれる確率が上がっていきます。

ブリーダーは「青さちよん(aa)」を作出しようとして、意図せず「免疫力の弱いさちよん(bb)」を作り出してしまう可能性があるのです。
この場合の「免疫力の弱いさちよん(bb)」が出る確率も簡単に計算できるので、興味のある人は計算してみてください。

スタートがBBとBbです。体色を絡める図解は少しややこしくなります。
免疫の遺伝子の比率だけ書いておきますね。体色に関わらず下記の比率で遺伝子ます。
F1 BB:Bb=1:1
F2 BB:Bb:bb=7:4:1

F2の個体では12匹のさちよん中1匹は免疫が弱い個体になるってことかな。
計算が間違っていたらごめんなさい。

(遺伝子AとBが同一の染色体に乗っていると事情が変わってきますが、今回は独立して遺伝することにしておきます)

 

安易な繁殖とミックスの危険性

特定の犬種は遺伝子プールが小さくなっているので、ブリーディングはしっかりとした知識を持って行わなければ非常に危険な場合があります。
(遺伝子プールについてはまた今度)

昨今、ミックス犬が流行っています。
F1個体は親のいいところを受け継ぐ傾向にあります。
本来、優性遺伝とは「いい形質」と言う意味ではありませんが、その犬種特有の優れた形質=優性遺伝のことが多いのです。
ミックス犬同士の繁殖が危険な理由が分かりますか?本来劣性遺伝で出現頻度が低い形質が思いがけなく現れることがあるのです。

「あれ?雑種って丈夫じゃないの?」と思った人もいると思います。
いわゆる「雑種」とは多種多様の祖先=多くの遺伝子から生まれてきています。
「遺伝子プールが大きい」状態です。

ところがミックス犬は特定の犬種=「遺伝子プールが小さい」から生み出されています。ミックス犬のF2は非常に危険な場合があるのです。

由緒正しい雑種とぽっと出のミックス犬では雲泥の差があります。
でも由緒正しい雑種はもうほとんどいないんでしょうね…。

一度小さくなった遺伝子プールを大きくするのは非常に困難です。
ブリーダーは遺伝子プールを維持したまま繁殖を行わなくてはなりません。
しかし、賞を受賞した個体や何かしら優秀(と判断される)個体の子供は高く売れます。そのため、同じオスから多くの子供を繁殖させる傾向にあります。
もしこのオスが危険な因子(ここでは遺伝子変異の意)を持っていた場合は、一気に蔓延してしまうのです。

 

遺伝子疾患を防ぐには

話を遺伝子疾患に戻します。
遺伝子疾患にさせないためにはどうしたらいいのでしょうか?

経験則に基づくのであれば、より多くの「さちよん」を捕獲して、遺伝子が偏らないように健康な「青さちよん」を作り出します。しかしこれには時間がかかり、試行錯誤をくりかえすことになります。
知識のない人は、安易に新しい形質の創作など考えてはいけません。

「遺伝子変異」を持つ個体を繁殖使うことを避けなければなりません。
しかし、成長とともに発症する遺伝子疾患が多く存在します。
繁殖可能な年齢を過ぎてから発覚することもしばしばです。

現代であれば遺伝子検査を用いて、「遺伝子変異」を持つ個体を見つけ出すことができる場合もあります。
まだ原因遺伝子が発見されていない疾患もたくさんあるでしょうが、徐々の同定(この場合、原因となる遺伝子変異が発見されるの意、かな?)されて行くと思います。
自分のお家の動物に遺伝疾患がないか調べるにはどうしたらいいのでしょうか?

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